伸びるがままにわがままに猫は壁だけを傷付けない

ウメ子先生の爪切りのため動物病院に行ってきた。若い頃は壁や本の表紙等でバリバリに爪を研いでいたウメ子先生だがお年を召されると爪とぎ板すら億劫になるようで、15歳を超えた頃から爪は太く丸く伸びるようになった。巻爪で怪我をしないよう動物病院のお世話になっているのだが、ウメ子先生は全力で暴れるので「来られるときは袋に入れてきてください」とお願いされている。ウメ子先生には今回もみのむし袋を被っていただいたうえで移動用ケージにお入りいただいた。

ウメ子先生は激怒した。必ずこの邪智暴虐のしもべを倒さねばならぬと決意した、かどうかはわからないが近所中に響き渡る大声で吠えまくるのだった。ウメ子先生が入ったケージを抱えて玄関を出たら、近所の黒猫氏にばったり会った。ウメ子先生のただならぬ声を聞きつけて駆けつけたのかもしれない。怒声の聞こえるケージと人間を見て、凍りついたように固まる黒猫氏。

私「猫語で何か聞こえたんだろうか」

父「ウメ子が『この家のやつらに殺される』とか言ってたんじゃねえか」

誤解だ。しかしこの辺の猫界隈では「あの家やべえ」と噂になったに違いない。

病院に着くとウメ子先生の怒りはピークに達した。カーッ!!フーッ!!と喉の奥から「k」と「h」の見事な有気音を発声されている。獣医さんはウメ子先生の威嚇をものともせず、「今日もお元気ですね!」と手慣れた動作でウメ子先生に噛みつき防止のエリザベスカラーを巻いた。5分ほどで爪切りは終わった。診察台からウメ子先生を下ろした瞬間、ウメ子先生は眉間をしわくちゃにして「ギャーッ!!」と吠えた。イケメン獣医さんに爪を切ってもらえるトキメキボーナスタイムなのにどうして毎回こんな騒ぎになるのか。なんなら私が代わりたいくらいだ。

さて最近ウメ子先生は夜中になるとアオーンと吠える。1,2時間おきに吠えられると人間の睡眠に影響がでるため獣医さんに相談してみた。原因はおもに3つあるという。

①耳が聞こえなくなった

②認知症を発症した

③わがまま

ウメ子先生はちゃんと音に反応するので①ではなかった。②の可能性も低い。

わがままだったのか…

獣医さん「猫ちゃんも年を取ると不安になるんですよ。寝る前に遊んであげたり、ごはんをあげたりして、不満がないようにしてください。加齢から生じる不安を軽減させるサプリメントも有効です」

ウメ子先生の寝る前のお夜食は毎晩用意しているので、サプリメントを試してみることにした。軽い気持ちでお願いしたら60粒入で税込み6,600円もしたので会計で飛び上がりそうになった。ひと粒あたり110円。しもべの昼の菓子パン代に相当する。猫の薬もセルフメディケーション税制対象にしてほしい。サプリメントをウメ子先生のお夜食に盛って5日ほど様子を見ているが、夜鳴きの回数が減ったような気がしないでもない。引き続きあらゆる選択肢を排除せずに緊張感をもって注視したい(首相会見)。

凛々しいお姿

母が退院した。退院当日、骨折とは別に血中コレステロール値が高いとのことで、母と一緒に「コレステロールを抑える食事づくり」という個別講義を受けた。塩分を抑えて酢を使い、食材は柔らかめに仕上げて消化を良くし、油の多い食材は避け、卵は一日一個、食後のおやつはほどほどに…という話を30分ほど聞いた。ごもっともだができる気がしない。母と二人で神妙に講義を受けたが、病院を出た途端母はせいせいとした顔で言った。

「モロゾフのプリンが食べたいんだけど。あと昼は寿司がいい」

骨折だったので食事は関係ないと思っていたが、毎日薄味のゆで野菜とやわらかいご飯と薄い味噌汁、おやつ無し、差し入れ不可の食事で全く面白くなかったらしい。母はくら寿司の特上極旨セットとモロゾフのプリンを食べてシャバの旨い飯にご満悦だった。元気で何よりだ。まだ背中に手が回らない状態なので毎晩「風呂で母親の背中を流す」という親孝行イベントが発生し、なんだかしみじみしている。

「永遠の一位」の日本語訳ノベライズを読んだ。ありがとう番外編。もっとねちっこく書いていただいても行間を読むのは大好きなので十分でございます。幸せいっぱいのこのドラマで一人だけ、裴守一が地獄を背負っていてヒエッとなった。きっと制作者にとって一番思い入れの強いキャラなのだろう。これ続き出るのかな。三期はまだか。

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