人生助手席がいい

気がついたら前回の更新から3ヶ月も経っていた。この3ヶ月の間、映画「カラオケ行こ!」を4回観に行き、「爆上戦隊ブンブンジャー」を見て沼に落ち、「虎に翼」と「アンチヒーロー」を見て100年前と現代の法廷ドラマにたぎり、それにつけても猫のいない人生が虚無すぎるので毎日のように猫の譲渡会情報をチェックしていた。猫については今のところ進展はない。ご縁があれば…という状況である。


■映画「カラオケ行こ!」はいいぞ

原作「カラオケ行こ!」は淡々とした印象だった。高校生になった聡実くんの回想録なので、中学生なのにそんな反社の人と関わっちゃって、周囲の大人に相談もしなくて大丈夫だったの?という心配はありつつも、「すべてはもう終わっているのだな」という安心感があり、不思議なコメディだと思いながら読み終えていた。

が、映画の「カラオケ行こ!」はびっくりするほどドラマチックだった。原作の世界観はそのままの不思議なコメディだが、なによりこれは愛の物語だったのだと衝撃を受けた。アマゾンプライム等で配信が始まったので、これから見る予定があるという方は以下の感想など後にして映画「カラオケ行こ!」を見ていただくことを心からおすすめいたします。

(昨日アクスタが届きました もはや神々しいですありがとうございます)

綾野剛演じる成田狂児に耳を撫でられるような声で「カラオケ行こ?」って誘われたら、そこはもう沼なんですよ。

原作の成田狂児の私のイメージは桐谷健太だった。朝ドラ『まんぷく』の世良勝夫のイメージである。しかし実写版狂児は綾野剛氏で大正解なのだった。これが世良勝夫では強すぎるのだ。あくまでも「カラオケ行こ!」は社会通念上出会ってはいけない二人(ヤクザと中学生)が出会ってしまう話なのでファンタジーでなければいけない。世良勝夫が一緒にチャーハン食うた仲やないかァ〜とか中学生に迫ってきたら即通報、逮捕のドキュメンタリー映画になってしまうが、ファンタジーヤクザの綾野狂児はそうはならない。晴れているのに雨傘をさして校門で佇む狂児の姿はもはや夢、夢でなければ幻だった。脚が長すぎるんよ…。綾野狂児のビジュアルについては冒頭でどしゃぶりの雨の中、濡れてべったり背中に張り付いたシャツに紋々が透けて見えるところから目が釘付けになる。瞬きする暇がない。宇宙人をカバンで殴り倒すシーンはコマ送りで見たい。また2回3回と見ていると、劇中「終始裏声で気持ち悪い」と言われていた狂児の「紅」が心地よくなる。いや絶対歌上手いでしょ。狂児が歌う「ルビーの指輪」と「歩いて帰ろう」のフルコーラスのサブスク配信はないんですかください。

映画版で良いなと思ったのは、映画オリジナルキャラとして登場する「映画を見る部」の栗山くんの存在である。とても自然に物語に関わってきて、聡実くんの良き相談相手となっている。聡実くんはちゃんと相談できていたのだ。良かった。ももちゃん先生の明るさも、和田くんのめんどくささも、大人っぽい中川さんも、中学校の部活を眩しいほどに体現している。聡実くんを演じた齋藤潤くんさんの紅の熱唱は聴き惚れた。愛とは焼鮭の皮であり、コンクールへの情熱であり、紅なのだった。3年後の狂児の腕の刺青はどんな顔して見たらいいんだ。

勢いでトミカのセンチュリーも買ってしまった。あんたの幻見てもうて…。不純な動機をごまかすべく2台購入し、1台をトミカ好きの甥っ子ちゃん(4歳)にプレゼントしたらトミカ仲間として認知され、甥っ子ちゃんと仲良くなることができた。手元に届いた黒塗りの高級車はたいそう可愛かった。加えて「MIU404」と「最高の離婚」と「アバランチ」を立て続けに見た。MIU404はディレクターズ・カット版のブルーレイボックスも買った。今までこれらの傑作を見ずに生きてきたとはなんという失態だ!万死に値する!!いや生きているうちに見ることができたのだから死ななくてよかった。

■日曜日をブン回せ

今期のスーパー戦隊「爆上戦隊ブンブンジャー」はお隣の富山県の自動車メーカー、光岡自動車が車両協力をしているので親近感があり、放送前から期待していた。放送が始まると、青空の下ぶっ飛ばすロックスター(※車種)、スピード感あふれるストーリー展開、火薬多めの手に汗握るアクション、憎めない悪役。悪い神谷浩史の声も非常にワクワクする。嗚呼浩史。私が好む作品に私の好むキャラで登場してくれる浩史。「ギャーソリン」の「ギャ」で声が裏返ってるのが良い。「こういうの待ってた!」の連続である。最高にバクアゲだ。

と、爽やかな日曜の朝に梅雨空のような男が現れた。シャーシロである。

シャーシロとは知性担当の青いやつ、ブンブルーこと鳴田射士郎(めいた いしろう、愛称シャーシロ)のことである。彼の本業はインテリジェンスだ。細身の身体を鎧のごとくがっちりしたスーツで固め、不測の事態も冷静に対処し、リーダーのブンレッドこと範道大也をサポートしながらともに戦い、常に大也にじっとりとした視線を送り、新規加入した仲間への牽制を怠らない。エンディングでは嬉々として大也の運転する車の助手席に座るシャーシロ。自分のハンドルは大也に預けていると言わんばかりである。

2話で少しだけだけ明かされたシャーシロと大也の過去―ひざまづき大也を見上げるシャーシロ、シャーシロに突きつけたブンブンハンドルを引っ込め、右手を差し出し破顔一笑する大也。「惚れたよ、その腕。俺が買った!」―その時のことを思い出して、シャーシロは俯き独りごちるのだ。「ずるいんだよ、お前の『惚れた』は…」

待て待て待てなんだこれは??!!!?!私は髙村薫先生の小説を読んでいるような感覚に陥った。この過去の続き、きっと大也はシャーシロを引き起こしながら尋ねるだろう。「あんた、名前は?」シャーシロはそれには答えず「惚れたって言えよ」と迫る。大也は「ああ、惚れた。惚れたから名前を教えろ」と苦笑し、シャーシロも少し笑って「鳴田射士郎だ…」と答え、すみませんこれは「李歐」を元ネタとした妄想です。わが手に拳銃ならぬ、わが手にブンブンチェンジャーを!

そのうち下剋上が起きて、感情をこじらせたシャーシロが大也にブンブンハンドルを突きつけたりしてくれないだろうか。また日本の夏は恐ろしく暑い。これからの季節はシャーシロがおもむろにネクタイをゆるめ襟をくつろげたり、シャツの袖をまくったりするサービスシーンも期待したい。いやシャーシロの趣味がサウナだということは知っているが、全部脱いでいただくよりちょっと隙が見えるくらいがいい。馬鹿者、こんなところで己の性癖を語ってどうする。

2話から私の反省会もアクセルキープオンでノンストップである。思い起こせば教習所ではS字カーブを脱輪しそのまま直進して教官に怒られたっけな。もう元の道に戻れる気がしない。


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